日常生活に支障をきたすSAS
歯科治療による睡眠時無呼吸症候群の改善
日本におけるSAS患者は約200万人で、SASの診断を受けていない患者を含めると推定1千万人といわれています。糖尿病患者の約220万人と同じくらいの人が患っている疾患と言えます。
「無呼吸」とは10秒以上の呼吸停止と定義され、この無呼吸が1時間に5回以上、または、7時間の睡眠中に30回以上ある方は睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
実はこの「睡眠時無呼吸症候群」は歯科的に治療が可能な疾患なのです。
睡眠時無呼吸症候群について
睡眠時無呼吸症候群の原因
「睡眠時無呼吸症候群」には、以下のように様々な原因があり、それぞれ複合的にかかわっている場合があります。
- 肥満・・・・・・・・・・・・・35%
- 顎が小さい・・・・・・・・・・35%
- 扁桃肥大・アデノイド・・・・・20%
- 鼻閉(鼻呼吸不全)・・・・・・10%
これらの原因により、気道が狭くなったり、塞がることで低呼吸や無呼吸が発現します。
睡眠時無呼吸症候群が及ぼす全身の影響
「睡眠時無呼吸症候群」は頻繁に呼吸が止まるため、心臓血管系に負担がかかります。そのため、以下のような循環器系疾患のリスクが高くなります。
- 高血圧:2倍
- 冠動脈疾患:3倍
- 脳血管障害:4倍
- 心筋梗塞:4倍
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック
夜間の症状
寝ているときの症状のため、自分では気づかない場合があります。家族やまわりの人に聞いてみましょう。
- いびき
- 夜何回も目覚める
- 不眠
- 夜間の頻尿
- 熟眠感がない
- 寝汗
昼間の症状
睡眠時無呼吸症候群は寝ている間だけ起こる症状ではありません。自分で自覚のある症状はありませんか?
- 日中の眠気
- 車の運転中や会議中など集中しなくてはいけないのに眠くなる
- 起床時の口腔乾燥
- 記憶障害
- 起床時の頭痛
- うつ、気力減退
睡眠時無呼吸症候群の検査
SASの検査方法は一般的に医科を受診してモニター検査を行います。検査項目により入院する場合と自宅で出来る場合があります。当院では自宅で検査できる簡易モニターを採用しておりますので、お気軽にご相談ください。(検査は自費となります)
睡眠時無呼吸症候群の治療方法
歯科的治療「口腔内装置(マウスピース)」
下顎が前に突き出るような構造のマウスピースを付けて寝ることで、気道を確保します。CPAPより、簡便で治療の継続が容易ですが 、鼻呼吸ができない方には装着が困難です。
歯科的治療「顎拡大療法(SH療法)」
狭窄歯列により不正咬合のある患者は、舌が後退し気道が閉鎖されやすくなっています。顎を拡大し舌のスペースを確保することで、舌が沈下することを防ぐことが可能であり、結果的にSASの治療と予防につながります。
CPAP
夜間睡眠時に鼻マスクから加える空気の圧力によって、上気道の閉塞を防ぎ無呼吸の発生を防ぐ方法です。
耳鼻科的治療
アデノイド(咽頭扁桃腺)の肥大があると鼻からの空気の流れが悪くなり、いびきや無呼吸が起きやすくなる。
減量
肥満による上気道周囲の脂肪により上気道が狭められているため、無呼吸が起こりやすくなります。ですから、減量により脂肪が減ると上気道が広くなり、無呼吸は起こりにくくなります。